大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)3727号 判決

〔抄 録〕

弁護人田島亮治の控訴趣意は、末尾に添附した別紙記載のとおりである。

よつて、記録を調査するに、原審第一回公判調書には、「証拠関係カード」と題する書面を添附し、該書面に、請求の順序・証拠の標目・立証趣旨・同意不同意の別・意見又は異議の申立・結果・取調の順序等の欄を設け、各欄内に、それぞれの記載の存することは、所論のとおりであるが、しかし、右第一回公判調書の本文中にも、検察官の冒頭陳述を記載した次に、「証拠の標目」として、「別紙証拠関係カード記載の通り」なる記載があるのであつて、該記載と、前示「証拠関係カード」の記載とをそう合するときは、原審第一回公判期日においては、検察官のいわゆる冒頭陳述の行われた次に前示「証拠関係カード」記載のような証拠調に関する手続が行われたものであることが認められるのであるから、所論にかかる「如何なる段階において同意又は異議なしとの意見を述べたものであるか」の点は、右公判調書上自ら明らかであるといわなければならない。而して、右「証拠関係カード」には、同意、不同意の欄に、ただ、「同意」とのみ記載してあつて、被告人の同意であるか、弁護人の同意であるかを書き分けていないことは、所論の指摘するとおりであるが、しかし、昭和二十六年最高裁判所規則第一五号によつて改正された刑事訴訟規則第四十四条第一項第二十一号には、公判調書に記載しなければならない事項の一つとして、「法第三百二十六条の同意」が挙げられている点からみれば、前示「証拠関係カード」記載の「同意」は、前後の関係上、右法第三百二十六条の同意があつたことを記載したものと認めるのが相当である。而して、法第三百二十六条の同意は、書面を証拠とすることについての被告人の同意であることは、法文上明らかであるばかりでなく、仮りに、実際に同意した者が、被告人本人ではなくて、弁護人であつたとしても、右同意は被告人において直ちに異議を述べないかぎり、弁護人の包括的代理権の関係において、被告人本人の同意があつたことになるのであるから、所論のような書き分けをしなかつたからといつて、別段の違法はないものというべく、結局、前示原審公判調書においては、法第三百二十六条の被告人の同意があつたことを明らかにしたものといわなければならない。してみれば、原審の公判調書には、この点について所論のような記載すべき事項を記載しなかつた違法があるものということはできないし、又、原審の証拠調に関して、原判決に所論のような判決に影響を及ぼすべき訴訟手続の法令違反があるものともいうことはできないから、論旨はすべて理由がない。

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